優しい母さん!の巻き

ぼくは身内の話とかはほとんどしない。

身の回りの人にね。

振られてもお茶を濁す感じかも。

このまえスーパー銭湯みたいなとこに行ったんですよ。

そこでアナウンスがあって

「○○からお越しの○○さま〜お電話が入っております」

とかなんとか流れたんです。

そしたらいろいろ思い出したのでここに書こうと思います。

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ぼくが小学生のころ、母さんは隣町のサウナで清掃のおばちゃんをしていた。

「なんかあったら電話するのよ」

と言って母さんは電話の前にある壁に紙を貼っておいてくれた

「もしもし、○○と申しますが、お母さんお願いします」

とか書いて。

その紙は詳しく書かれていて、

「はい、こちらサウナ○○○○の担当○○です」

とか、相手の言ってくることも書いてあった。

こう言ってくるからこう言う!みたいに丁寧に書かれていた。

ぼくが電話で「お母さんお願いします」

って言うと、電話の係の人は

「はい、ちょっと待っててね(笑)」

と言って繋いでくれた。

ぼくは小学生だったから、声もしゃべりかたもかわいかったんだろう。

「もちもち、お母さんお願いしまちゅ」みたいなw

ずいぶん好意的な感じだったといまはわかる。

電話口の向こうから母さんをアナウンスで呼ぶ声が聞こえてくる。

「○○さん、○○さん、お電話が入っております」

って。

たまに「お子さんかわいい声ですねー」とかいう会話も聞こえてきてた。

そんな会話がすると、母さんが来た証拠だ。

なぜかどきどきして、わくわくする。

「もしもし、どうしたの?」と、優しい声。

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なんで電話したのか、用事はなんだったか覚えてない。

ただ母さんの声が聞きたくて電話してたのかもしれない。

今になって思い出すと涙ぐむ。

ショッピングセンターでもスーパー銭湯でもいい。

「○○さん、お電話が入っております」

そんなアナウンスを聞くと、僕は無性にセンチメンタルになる。


知らない所に電話をする。

小学生が。

その不安をわかってくれたのが嬉しかった。

手取り足取り教えてくれたのが嬉しかった。


お母さんありがとう。

ぼくはありがとうって言える人間になったよ。

ぼくのこの愛情はお母さんから受け継いだんです。


だから、恩返しとして母さんが自慢できるような人間になるよ。

自慢の息子になるよ。



だから・・・ずっと見ててくれると信じています。